2019年1月5日。
スタジオTOTOLAによるアクロバットショーが会場を沸かせた。
人間離れした身体技巧、息を吞むパフォーマンスは見る者を魅了する。
アーティストの広沢タダシとケイスケサカモトによるTALK SHOW & LIVEと共にTOTOLAのショーは《WOW MUSIC 新春SPECIAL PROGRAM》を盛り上げた。
これは、スタジオTOTOLA代表である瓜野誠一郎さんとのトークショーの模様です。
※尚、この記事は《TOTOLA代表、瓜野誠一郎さんがエンターテイメントの学校を作る理由》との合わせたものです。
どうぞこちらも合わせてお読みください。
信頼
スタジオTOTOLAはオープンして一年半を迎えた。
生徒の数は220名を超える。
嶋津
瓜野さんのエンターテイメントとの出会いから聞かせてもらえますか?
瓜野
もともと僕は駅前で夜な夜なブレイクダンスを踊っていたところからはじまりました。
そこから「自分の好きなことを仕事にしたい」と大きな夢を抱いて、某テーマパークのオーディションを受けました。
全国から凄腕のパフォーマーが集まってくるわけですから競争も激しいテストでした。
何度も何度も落ちて、それでも諦めきれず、4回目のオーディションでようやく受かることができました。
今年でちょうど13年です。
嶋津
スタジオで生徒にエンターテイメントを教え、テーマパークでパフォーマーとして活躍する他、もう一つの顔がありますよね。
瓜野さんはフラッシュモブを日本に入れたメンバーの一人です。
瓜野
もともと海外でフラッシュモブがとても流行っていたのですが、それを日本ではじめました。
結婚式場とかでスタッフやコックさんが踊り出して、新郎さんが新婦さんに花束を渡したり。
今はNLPサプライズというチームで活動しています。
嶋津
日本でフラッシュモブのムーブメントを起こした立役者ということですよね。
この辺りは《TOTOLA代表、瓜野誠一郎さんがエンターテイメントの学校を作る理由》に詳しく書いてありますので、ぜひご覧ください。
嶋津
瓜野さんは「バク転は誰でもできる」とお話しになりますよね。
僕にもできますか?
瓜野
できます。
会場www
嶋津
即答ですねw
なかなか自分がバク転をできているところがイメージできないのですが。
「バク転をしてみたい」という方もここにお集まりになったみなさんの中にいらっしゃると思います。
生徒さんへはどのように教えていらっしゃるのですか?
瓜野
真後ろに飛ぶ恐怖を克服してあげればいい。
「先生が支えてくれている」と信じることができれば、決して難しいことではありません。
嶋津
興味深いですね。
「信じることができれば」できるようになる。
確かに、後ろで支えてくれている人を疑っていたら怖くて飛べないですよねw
瓜野
とにかく信頼することが必要です。
信頼というのは英語で「Trust(トラスト)」。
そのトラストの造語からTOTOLA(トトラ)と名付けました。
僕たちは、あらゆるシーンにおいて「信頼」をテーマにしています。
ショーでも信頼関係がなければ大怪我に繋がるなど、危険な場面が多々訪れます。
レッスンの中でも、生徒のみなさんが僕たち先生のことを信頼し、先生方も生徒達を信じている。
そこに信頼関係が築かれているからこそ怖くない。
嶋津
信頼関係があれば、誰でもできるようになっていく。
瓜野
そうです。
今までできなかったことができるようになる。
その小さな一つ一つの積み重ねが自分自身を大きくする。
自分を信じることに繋がります。
嶋津
「自分ならできる」という気持ちが、新しいことにチャレンジしたり、失敗しても諦めない強い心を育てていく。
エンターテイメントだけではなく、生き方としてあらゆる場面に応用できる考え方ですね。
自分を信じる心があれば、何事にも立ち向かっていくことができる。
瓜野
今後のTOTOLAはステージを増やしていきたいと思っています。
僕たちだけでなく、子どもたちがステージに上がる。
ステージに立つことや拍手をいただくことの喜び、この場所でしか感じることができないものを味わってもらいたいです。
嶋津
すばらしいですね。
今後のご活躍も楽しみにしています。
今日はありがとうございました。
瓜野
どうもありがとうございました。
瓜野さんとの対話の中でふと、編集者の佐渡島庸平氏の言葉を思い出した。
氏は著書の中で「信用」と「信頼」の違いについてこう述べている。
信用は、過去の実績や成果物を、価値があると評価することだ。
過去のことだから虚偽でない限り崩れないし、片方が一方的に評価するので、関係にならない。
一方、信頼は、未来のことをさす。
過去の実績を「信用」して、不確実性のある未来のことも信じて、評価する状態が、信頼だ。
(『WE ARE LONELY,BUT NOT ALONE』より)
「信用」は過去を基準とし、「信頼」は未来に向かっている。
さらに氏は「信頼関係という言葉はあるが、信用関係という言葉はない」と述べた。
つまり、信頼は片方だけでは成立しない。
お互いの気持ちが繋がって、そこではじめて「信頼」となる。
人は一人では生きていくことはできない。
誰かの力を借りて、または別の誰かを支えながら共に生きていく。
「信頼」が宿る場所───そこがTOTOLAだ。
エンターテイメントを学ぶようで、子どもたちは生きていくことの大切さを学んでいる。
「信頼」を通して、今までできなかったことができるようになる。
それが「自信」へと繋がる。
自分の中のもう一人の自分と、信頼関係を築き上げることができた時、人は強くなる。
みなが「できない」と言っても、自分だけは「自分」のことを信じてあげることができる。
教育的な観点から見て、「信頼」と「自信」はあらゆる現場で必要となるだろう。
そして最後に、瓜野さんがインタビューした僕に向けて言った言葉が印象的だった。
エンターテイメントを仕事の候補にできる世の中をつくりたいです。
今、僕たちがやっていることを未来ある子どもたちに繋げていきたい。
スタジオTOTOLAは「信頼」に満ちた世界をつくってくれるに違いない。